愛知県は犬山に国宝の茶室、「如庵」を見に行きました。
この茶室、千利休の高弟だった織田有楽斎の作。
織田有楽斎は織田信長の弟で、本能寺の変で織田信長の嫡男、
信忠に自刃をすすめたなど、武将としてはすこぶる評判が悪いけど
(他に大阪の陣では豊臣方の武将が言うことを聞かなくて家康側に
逃走するなど、かっこわるいことこの上ない)、
国宝を残したのだからたいしたものだ。
ほかに、東京の有楽町は織田有楽斎の屋敷があったから、
その名前の由来となった、という説もあったり(証拠はなく諸説ある)、
なかなか風流人としてはいいセンスだったよう。
兎にも角にも、「如庵」である。
これまたおもしろいことに、この国宝の茶室、
なんと、「名鉄犬山ホテル」の敷地内にある!
国宝って企業が所有できるんだ。。
さらにいうと、もともとは東京の三井が所有していたとのこと。
それを名鉄が買い取り、尾張の国にもってきたという。
東京から茶室を運びこむ時、
トンネルを通ろうとしたら、上が支えてしまい、
「おいおい、国宝になんかあったらどう責任取るの?」的圧力で、
なんとトンネルを削らせたというエピソード付き。
茶室一つにもおもしろい歴史がありますねー。
というわけで、「如庵」は「名鉄犬山ホテル」の敷地内にある
「有楽苑」という日本庭園の中にあります。
「名鉄犬山ホテル」をオープンした時、まわりはただの湿地でなにもなく、
当時の社長が「如庵」を買い取ってどこに置こうか考えた時、
「お、そういえば、あのホテルの前の湿地に置こう」となったそうな。
「有楽苑」自体もなかなか歴史があっておもしろい。
「如庵」のほかに、織田有楽斎が当時住んでいた屋敷を持ってきたり、
いろいろしてます。また、もともと三井家にあった「如庵」、
セットでいろいろと持ってきたらしく、三井家ゆかりのものも多く、
見どころ満天です。長谷川等伯の屏風なんかもある。すごいね!
犬山に来たら、犬山城だけじゃなく、
ここも見なきゃもったいないですよ!
有楽苑の中。朝の空気が透き通ってて気持ちいい。
竹林もあります。
白州と竹。侘び寂びの世界へー。京都みたい。
屋根の庇がちょっと彎曲しているのわかりますか?
これをやるのはお金持ちの証拠だそうです。
すっきりとしたシンプルで雅なお庭です。
小道も美しいです。
ザ・日本庭園。
白州と植木、竹林と白壁とバランスが美しい。
石畳もいろいろと細かい工夫があっておもしろい。
もともと湿地だっただけに、苔が見事。
茶室を移転する場所を考えた時、
ちゃんとそこまで考えてたんだろうなあ。
日本庭園の醍醐味は一周回る間にいろいろな草木の
組み合わせの妙を楽しめることです。
岩、苔、陽の光のバランス。
まだまだ続く夢幻の如しワールド。
こちらは大阪に有楽斎が建てたという茶室の古図をもとに復元した
元庵のお庭。苔が見事でした。
元庵。床構えは亭主床です。ひがなここでぼ?としたい。
夏は蚊が多そうだけど。。
苑内の灰皿も意匠が凝らしてあります。